ペットショップで犬や猫を買ってはいけない理由
ペットショップで犬や猫を購入してはいけない理由は、ペットショップが不幸な動物たちを作り出す原因になっているからです。ペットショップには様々な問題があります。
今回はこの問題について考えていきたいと思います。
ペットショップの問題について書かれている一冊の本をご紹介します。
著者の杉本彩さんは、20代から動物愛護活動を始め、2014年2月一般財団法人動物環境・福祉協会Evaを設立し理事長に就任されました。その後Evaは公益財団法人となり現在に至っています。
この本には、ペットショップでの生体展示販売の背景にあるおぞましい現実や売れ残った動物たちの行く末、金儲けの為に劣悪な環境で繁殖を続けるブリーダーなど様々な問題が書かれています。
ペットショップの問題点
ペットショップには以下のような問題があります。
- 売れ残った動物達が悲惨な目にあっている
- 儲け主義に走り動物を大事にしていない
- 安易に買える為、本当なら動物を飼えないような人も飼っている
1.売れ残った動物達が悲惨な目にあっている
ペットショップでは、飼いたい人よりも売られているペットの数が多い為、必ず売れ残りが出てしまいます。
その売れ残った動物達が、悲惨な目にあっていることをご存じでしょうか。
ペットショップで売れ残った動物達はどうなるのか?
売れ残ったペット達がどうなるのかというと
- 里親募集
- ブリーダーに返却
- 動物実験用に業者に売却
- 繁殖屋に売却
- 引き取り屋に売却
以上のような結果が待っています。
里親募集
良心的なペットショップは、売れ残ってしまった子達の里親を募集し、新たな飼い主を探しています。こうしたペットショップは少ないと思われます。
動物実験用に業者に売却
動物実験は、医学研究や新薬開発、化粧品、日用品、食品添加物、農薬、工業用品の開発など広く行われています。
残酷な動物実験の廃止を求める運動も行われていますが、実現されていないのが現状です。
繁殖屋に譲渡
繁殖屋とは、狭くて汚い部屋に多くの犬や猫を閉じ込めて、劣悪な環境で無理な繁殖を繰り返す業者のことを言います。
外には出さず、病気になっても病院にも連れて行ってもらえず、死ぬまで繁殖を繰り返させる業者もいるのです。
こうした悪質な業者から買い取られた子犬や子猫たちが、ペットショップで売られている実態があります。
引き取り屋に売却
以前は、売れ残ったペットを保健所に持ち込むことが許されていましたが、2013年に動物愛護法が改正されたことで、保健所側が受け取りを拒否できるようになりました。
その為、行き場を失ったペット達を1匹数千円から数万円で引き取る引き取り屋が現れました。
引き取られたペット達が適正な飼育をされていれば問題はないのですが、十分な食べ物も与えられずに不衛生な環境に置かれています。
このようなネグレクト、虐待状態に置かれることで、衰弱死している犬や猫たちがたくさんいます。殺処分をされない代わりに飼い殺しされているのです。
2.儲け主義に走り動物を大事にしていない
ペットショップでは、儲け主義に走るあまりに動物たちのことを考えない売り方をしています。問題としては以下のようなことがあげられます。
- 幼い動物を売り買いする
- 飼育環境が悪い
幼い動物を売り買いする
ペットショップでは、幼犬や幼猫が好まれよく売れます。ところが母親や兄弟と過ごす期間が短いので、社会性が芽生える前に売り買いされることで様々な問題を引き起こしています。
(問題点)
- 噛み癖などの問題行動を起こしやすく躾しづらい
- 体が弱く病気にかかりやすい
- かわいさを売りにして衝動買いをさせる為、飼育放棄につながりやすい
このような問題があるため、8週齢(出生後56日)前の売り買いの禁止を求めてきましたが、業界側の反対からなかなか実現しませんでした。
8週齢規制に反対する業界体質
ペット業界の体質を表した記事がありましたのでご紹介します。
なぜ8週齢規制が必要なのか。親元から引き離した犬猫の赤ちゃんが問題行動を起こすリスクや罹病率・死亡率は、8週齢を下回ると高くなることが海外では科学的に証明されている。実際、米国や英国、ドイツ、フランスなどは8週齢未満の犬猫の販売を原則禁じている。
だが、日本のペット業界は「海外のデータは成長の遅い大型犬のもの」「早く人間の手許に置いた方が問題行動を防げる」などと反論。外見が愛らしい幼犬・幼猫の方が消費者に好まれ(それが衝動買いを誘発し安易な飼育放棄にもつながっている)、また飼育期間が短い方が流通・販売コストを抑えられるため、規制強化されては「商売上がったり」というわけだ。
もう一つ愛護団体が重視しているのが、横行する「すし詰め飼育」への数値規制。今年3月にも、福井県の繁殖業者が、大量の犬猫を過密飼育していたとして動物愛護法違反で刑事告発されたが、数値基準がないことがネックとなり不起訴処分に終わった。こちらの法改正にもペット業界は消極的だ。
FATCA ONLINE 2018.8月号「どうぶつ愛護議連」の仮面の下より引用

改正動物愛護法の一部内容施行について
2021年6月1日から改正動物愛護法の一部内容が施行されました。出生後56日を経過しない子犬や子猫のペット販売が原則禁止となりました。日数から「8週齢規制」とも呼ばれています。ようやく8週齢規制が実現されましたが問題点もあります。
(問題点)
- 販売側が出生日を偽る危険性がある
- 日本犬6種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)だけが8週齢規制の対象から外されている
販売側が出生日を偽る危険性
血統書の生年月日は繁殖業者が決めるため、客観性にかけます。獣医師などの第三者が出生日を証明するしくみを作ることが必要とされています。
日本犬6種だけが8週齢規制の対象から外されている
改正法に付則がつけられました。日本犬だけを取り扱う繁殖業者が、一般の飼い主に直接販売する場合などについては、生後49日を超えれば販売できることになったのです。その理由は「天然記念物の保存のため」とされています。
よくわからない理由ですね。
飼育環境が悪い
悪質なペットショップや繁殖業者の元では
- 狭いケージにたくさんの動物を閉じ込めて適切な世話をしない
- 犬猫が高齢になっても繁殖をさせられ、狭いケージに閉じ込められたまま出してももらえない
といった劣悪な飼育が問題となっています。
これを改善する為に改正動物愛護法では具体的な数値を定め、規制を強化することになりました。
業界側は、これによって存続できないペットショップや繫殖業者が出てくるため、多くの動物たちが行き場を失い殺処分されると反対してきました。
自分たちの無理な繁殖行為によって多くの動物達を生み出してきたことを棚に上げて、何を言っているのかと思います。
法改正を理由にした殺処分は認めることはできません。これまでの悪行を償い、動物たちが不幸にならないように里親を見つけるなどの対策をとってほしいです。
飼養管理基準の具体例
寝床や休息場所となるケージの大きさ
タテ体長の2倍×ヨコ体長の1.5倍×高さ体高の2倍とする
運動スペースの確保と運動時間
ケージサイズの床面積の6倍×高さ体高の2倍の運動スペースを確保し、1日3時間以上は運動スペースに出し、運動させることを義務付ける
1人につき繁殖犬15頭、販売犬20頭まで飼育可能
従業員1人あたりにつき、繁殖犬は15頭まで、販売犬は20頭まで飼育可能とする(親と同居している子犬は頭数に含めない)
生涯出産回数は6回まで、メスの交配は6歳まで(満7歳未満)
ただし、満7歳時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、交配は7歳までとする。
また、7歳未満であろうとなかろうと、年齢や出産回数にかかわらず、繁殖に適さない個体は交配を認めない。
3.安易に飼える為、本来なら飼えないような人が飼っている
ペットショップでは抱っこ商法というものがあり、お店に来た人に子犬や子猫を抱っこさせ飼いたい気持ちになるように促して、衝動買いをさせようとしてきます。
全てのペットショップがそうだとはいいませんが、ペットを飼う場合のリスク等は教えず売り急いでいる場合があります。
(問題点)
- 衝動買いを誘発している
- リスクを教えない為、飼ってみて理想と違うと感じ放棄する人がいる
- 引越しなどを理由に遺棄
- ローンを組ませる為、病気になって治療費が払えなくなる
以上のような問題があります。
殺処分をなくす為に私達ができること
殺処分をなくす為に私達ができることを
「世界のアニマルシェルターは、犬や猫を生かす場所だった。」
よりご紹介したいと思います。
- 現状を把握して、家族や友人に伝える。
- 週末に近所のアニマルシェルターを訪ねてみる。
- シェルターにいる犬や猫のエサ代のために少しずつ寄付をする。
- シェルターで散歩のボランティアをする。
- シェルターに入りきらない動物を、新しい家族が見つかるまで面倒を見る。
- 動物を飼う際には、まずアニマルシェルターから引き取ることを検討してみる。
—『世界のアニマルシェルターは、 犬や猫を生かす場所だった。』本庄 萌著からの引用
最後に
今回は、ペットショップの闇と称してペットショップの問題点を考えてきました。
私は、ペットショップの問題を知らなかった為に2年前にクーアンドリクから猫を購入しました。問題を知っていたらペットショップからではなく、保護団体から猫を譲り受け里親になっていたと思います。
動物達を取り巻く環境は、動物愛護を訴える人たちのおかげで徐々にではありますが、法律が改正されていい方向に向かっていると思います。
けれども、欧米に比べると日本はまだまだペット愛護の精神が低く、多くの動物たちが苦しめられています。
この実態を多くの人が知って、ペットショップからではなく保護されている動物達を迎え入れるようになることを望みます。
また、ペットを飼わない人でも保護団体に寄付をすることで多くの動物たちが救われます。動物が好きだという人はぜひ寄付をしてあげて下さい。
こちらのブログでは保護猫の迎え入れ方を書いてあります。保護猫を飼いたいとお考えの方は是非ご覧ください。
